新元号「令和」の典拠!『万葉集』関連おすすめ本を、文学部国文学科出身の私が12冊選んでみた!

皆さん、こんにちは。もう食べちゃいたいぐらい本が大好きな、大國沙織(@saori_ohkuni)です。

書評ブログ、ずっと書きたかった……。今こそ書かねば、と筆を握りました(正確にはパソコンだけど)。

さて! ついに先日、新元号が発表されましたね! その新元号「令和」の典拠が『万葉集』だったことから、書店では万葉集関連本が売り切れ続出、各出版社も慌てて重版をかけたそうです。実際に私も何度か書店に足を運びましたが、どこも万葉集関連本が平積み!

さあさあ、万葉集ブームの到来ですよ〜!!!

これは、文学部国文学科出身で本の虫の私としては、非常に嬉しい事態です。これまで、日本の古典の面白さを共有したくても、なかなか分かってもらえなかったので、「どの歌が好き?」なんて、誰とでも語り合える日がくるのでは……!? とワクワクが止まりません。

まず、万葉集とは? 

奈良時代末期(8世紀後半)頃に編まれた、日本に現存する最古の歌集です。天皇、貴族などの上流階級から、下級官人や防人、芸人などさまざまな身分の人達が詠んだ歌を4500首以上集めたものです。約半分が作者未詳なのも、ロマンなんですよね……。

新元号「令和」の典拠! 『万葉集』関連おすすめ本12選

この記事では、文学部の国文学科出身の私が、万葉集関連のおすすめ本12冊をご紹介していきます。

でもなぜそもそも、そんな地味で、何の役にも立たなそうな学科に進んだの? と皆さんは思われるかもしれませんね。

私の思う、古典のありあまる魅力!

私も当初は、文学部で一番人気で華やかなイメージの英文学科志望でした(アリスやピーターラビットも好きだったし)。

ところが、浪人中に目覚めてしまったのです。日本の古典の魅力と面白さに……! それまでは、退屈でつまらないとしか思っていなかった古典。でも、当時19歳でまだ恋人のいたことのなかった私には、古典の世界で繰り広げられる男女のあれこれは、十分刺激的で好奇心をそそるものでした。

それからは古典の参考書ばっかり、何冊も買って読み漁りました。

あまりにものめり込み過ぎて、大学入試(5〜6校は受けたはず)で出題された古文は、どれも既に読んだことのあるものばかりでした(笑)。

私達の祖先が、当時何を考え、どのように暮らしていたのか。

歌人達が詠む花鳥風月の歌から浮かび上がるのは、四季折々の、美しく雄大な自然の景色。

そして千年以上の時を経ても、仕事の苦労や恋愛模様は、私達とそう変わらないように見えました。

けれど中には、その意味合いを巡って、専門家の間で見解が分かれている歌もあります。これは、喜びの歌だ、いや悲しみの歌だ、そんな「想像の余地」があるというのも、最高にロマンチックじゃないですか?

歴史ある京都で日本の古典を学ぶことができたのは、私の人生にとって、この上ない幸運だったと思います。

これから万葉集ブーム、そしてその流れから、きっと遠からず古典ブームがやってくるでしょう。そんなときに、ちょっと本を読んで教養があるとドヤ顔できますし、サラッと知識を披露すれば、爆モテ確実ですよ!(適当)

今回は古典に魅せられ、数え切れないほどの本を読んできた私が、超初級編、初級編、中級編、上級編、番外編の5つに分けて、全12冊の万葉集関連のおすすめ本を紹介します!

あなたにぴったりの一冊が、必ず見つかるはず! それでは行きましょう!

■超初級編

共著『まんがで読む 万葉集・古今和歌集・新古今和歌集』

いきなり漫画? と思うなかれ! 漫画は古典に縁がない人にもとっつきやすく、純粋に楽しめるので、まさに超初心者向きです!

私は源氏物語専攻のゼミに所属していたのですが、登場人物が多すぎて大混乱し、漫画『あさきゆめみし』と、それをさらにわかりやすく解説した、青い鳥文庫の児童書に頼りました(笑)。

何を学ぶにもそうだと思いますが、入り口はやさしければやさしいほどいい! 理解が追いつかなければ、その面白さが分かる前に離脱してしまいますよね。徐々にステップアップするのがおすすめ!

万葉集の編纂に関わった大伴家持(おおとものやかもち)が、ものすごくイケメンに描かれているのもツボ。彼は実際、歌が上手くてモテモテだったらしいですよ〜。

■初級編

角川書店編『万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』

オーソドックスに『万葉集』の全体像を押さえたいなら、まずはこれ!

角川のビギナーズ・クラシックスシリーズは、どれもわかりやすくて初心者向きです。

数ある中から名歌約140首を厳選し、丁寧かつ簡潔に解説しています。

「万葉集を語るなら、この歌は知っておきたい!」というラインナップがきっちり網羅されているので、とてもよくまとまっている良書だと思います!

上野誠『はじめて楽しむ万葉集』

万葉集を好きになりたいなら、この一冊をぜひ。とにかくわかりやすい! 馴染みやすい!

基本の80数首をピックアップし、現代人でも身近に感じやすい工夫を用いて(CMを例に出したり)、やさしく面白く解説されています。

実は私、大学時代に、上野先生の授業を生で受けていたんです。当時発売されたばかりの先生の著書(これとは違うもの)を、生協の書店で購入した思い出も。

「皆、授業に来るの大変やろうから、わざわざ来んでええで〜」とか言っちゃうようなゆるい先生だったんですが(笑)、先生のお話がものすごく面白いので、この授業は出席率がダントツで高かったんですね。寝てる人もいなくて、皆が熱心に聞いていた数少ない授業だったなぁ!

共著『よみたい万葉集』

この本はオールカラーで、どのページをめくっても美しいのが魅力です。

特に「万葉新聞」という、当時の暮らしぶりを新聞記事風にまとめたコーナーが面白い!

流行りのファッションや、今の合コンにあたる「歌垣」に関するネタなど、貴族達がどんなことに夢中になっていたのかが、リアルに伝わってきます。「レッツ夜這い!」とか、もうセンスが最高です(笑)。

豆知識も豊富に散りばめられており、読みやすいのに内容はディープ。

文字ばかりよりも、視覚で楽しみたいという方におすすめです。

清川妙『万葉集の恋うた』

万葉集の中から、恋の歌ばかりを集めて解説した本です。

実はこちら、70年代後半に雑誌に連載されていた内容の復刻版。「小梅ちゃん」のイラストで知られる、林静一の挿し絵がページを彩り、レトロな可愛さに心が踊ります。

片想いや秘密の恋など、昔の万葉人の恋愛模様も今となんら変わらないし、それぞれの想いがとてもピュアでまっすぐ!

誰かを愛するって素敵なことだなと、改めて思わせてくれます。恋したい、という純粋な気持ちを忘れてしまった人におすすめです。

■中級編

共著『万葉集 (日本の古典をよむ 4)』

万葉集の舞台、奈良の都のシンボル・鹿さんが描かれていて、装丁も可愛い(大事)!

ただ、解説はかなり少なめでシンプル。訳も「これ訳したことになるの?」ってぐらい原文に近いので(失礼)、初級編とは言いがたく、原文の味わいを楽しみたい! という方にいいかもしれません。

それにしてもシリーズ全体を通して装丁が可愛いので、他の作品も揃えて本棚に並べたくなる、コレクション欲が刺激されて困る……。

最後の解説が良くて、「万葉集にはとにかく謎が多い、あれもこれも謎ばかりだ!」ってお話が面白かったです。ミステリアスな人って魅力的ですが本も同じで、さらに知りたくなっちゃいますよね。

池澤夏樹編『口訳万葉集/百人一首/新々百人一首』

作家として池澤夏樹が好きなので、彼の編集物というだけで、無条件に信頼してしまう私ですが(笑)。

それを抜きにしても、この「口語万葉集」は面白い!

国文学者で歌人の折口信夫が、なんと29歳の若さで(今の私と同い年や……)、口述筆記という形で訳したものです。しかも彼が話すのを、友人三人が書き取るという方法で、毎日朝9時〜夜22時まで続けて、わずか三ヶ月で完成したのだとか。いやはや、仕事できすぎ。

この歌は「傑作」こっちは「佳作」などとシビアにランク付け? しているのも痛快です。

百人一首と新百人一首も入っているので、同時に勉強できるのも◎!

共著『補訂版 萬葉集 本文篇』

これは実際に私が、大学時代に教科書として使っていた本です!

解説の詳しさやわかりやすさから、本当は初級編に入れたかったのですが、522ページという分厚さで敬遠されそうだなと思い、中級編としてご紹介しますね。

学生時代、薄くてコンパクトな参考書よりも、分厚くてとっつきにくそうな参考書の方が、解説が丁寧でよく理解できたという経験はないでしょうか?

これはまさに、そんな本です。人に例えると、何を聞いても親切に優しく教えてくれるおじいちゃん先生って感じ!

リービ英雄『英語でよむ万葉集』

「現代の日本語に訳してあっても、いまいち意味がよくわからない……」というとき、ありますよね。そんな時におすすめなのが、これ!

西洋出身者としては初の日本文学作家であるリービ英雄によって、約50首の歌が英訳されています。

「万葉集にたどりついたとき、古い日本語というよりも、とても新しい文学に出会ったという不思議な感じがした」と語る著者。英語を母語とする彼の感性を通して触れる万葉集は、全く違った驚きを私達に与えてくれます。

一例を挙げますね。

「世の中を 何物にたとへむ 朝びらき 漕ぎ去にし船の 跡無きごとし」

“To what shall I compare this life?
the way a boat rowed out from the morning harbor leaves no traces on the sea.”

ね、不思議と英語の方がスッと意味が入ってきませんか(笑)?

■上級編

伊藤博『萬葉集釋注 文庫版 全10巻完結セット』

こちらは、上級編に入れざるを得ませんでした……。なぜなら、めちゃめちゃ長くてボリューミーだから!

ものすご〜〜〜く、読み応えがあります!! チャレンジ精神旺盛な方にはたまらないはず!

特筆すべきは「一つの歌に一つの訳」という従来の歌集のパターンをひっくり返し、ある程度のまとまった単位を「歌群」と捉えて訳しているところ。

それまではバラバラの歌としてしか認識できなかったのが、突如流れのある壮大な物語として、ありありと目の前に迫ってきます。

学生時代の夏休みに、古本市でこのシリーズ一式セットと出会ってしまった私。暑さで少々頭がやられていたこともあり、うっかりお持ち帰りしてしまいました。帰り道の荷物が死ぬほど重く、私としては「若気の至り」ベスト3に入るエピソード(笑)。懐かしいなぁ。

■番外編

木村紀子『「食いもの」の神語り 言葉が伝える太古の列島食』

万葉集をはじめとする古代の文献から、食べ物に関する記述のみを集め、解説した……という、もはや「私得」でしかない本(笑)!

食いしん坊な方なら、きっと楽しんでもらえる一冊です。

穀物や豆、菜、海草など、それぞれの食材が登場する歌を取り上げ、当時の人々にとってそれがどんな意味合いを持っていたのか、どんな調理法で食べていたのか、そして日本食のルーツもよくわかります。

「日本に生まれてよかった」としみじみ思うのは、やっぱり食文化の豊かさに触れたとき。海外の人に説明するために理解を深めたい、というシチュエーションにもおすすめです!

里中満智子『恋歌・万葉集』

この本は、12冊の中で唯一絶版なんです。でもどうしても紹介したい! すごく面白い本だから!

里中満智子は、私が敬愛する漫画家の一人。中学時代、物置を探検していたら母が若い頃読んだらしき『天上の虹』が出てきて、夢中で読み漁った記憶があります。

そんな里中さん、このたび新元号が「令和」に決まったことについて「これほどうれしいことはない」と仰っており、万葉集についても「天皇から庶民、はたまた政治犯まで、しかも男女の区別もなく、ありとあらゆる立場の人たちの歌が載っている。内容を見ても、恋の歌から政治を批判するものなどまで様々あって自由なんです」とコメントされています。

それもそのはず。まだ時代が昭和だった頃、万葉集がモチーフのこんな本を出されていたんです!

恋の歌10首を取り上げて現代風にアレンジした漫画と、それぞれの歌を詠んだ歌人の解説、そして「万葉うたがたり」の活動を行う岡本三千代氏との対談(大物二人の女子会を覗いてるみたいで面白い)、とかなり充実の内容!

噛み砕いて書かれているので歌人同士の関係性がわかりやすく、娘のフィアンセにアプローチする母親がいたり、現代の恋愛よりもかなり奔放だったことがよく理解できます(笑)。

昭和に出版されただけあって、「ウキウキ」が「浮々」って書いてあったりするのも個人的にたまらない。

ちなみに元号が発表されてから、amazonの中古でも1万円まで跳ね上がっていたので、これは図書館で借りました(有難い)!

おわりに

いかがでしたでしょうか、万葉集関連のおすすめ本12選!

「いや長いわ!」って感じですよね、すみません。これでも、厳選したんです……。長々お読みいただき、誠にありがとうございました。

ちなみに、完全に私の独断と偏見と好みで選んで解説したので、「なんであの名著は入ってないの? おかしくない?」等のツッコミはご遠慮願います(笑)。

私がいま古典の魅力を享受できているのは、間違いなく、数々の素晴らしい本との出会いのおかげ。皆さんにも、少しでもこの喜びをおすそ分けできたら嬉しいです! これを読めば、あなたも立派な万葉集マニア!

さあ、めくるめく万葉集ワールドへ、ようこそ〜〜〜!!

4500首の歌でどれが一番好きか、「令話」という新たな時代を迎える今こそ、熱く語り合おうではありませんか!!!!!

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